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AutoCADを使ってP&ID図面から材料情報を集計したいと思ったことはありませんか?
P&IDは”Process And Instrument Diagram”の略のことで、工場の設備設計をするときに使われる図面のことです。
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「配管がポンプやタンクなどの機器にどう繋がっているか?」だったり「計装機器がどんな信号を飛ばして、どんな制御をしているのか?」などを表しています。
プラントエンジニアは設計業務に加えて、材料(バルブなど)を調達しなければいけません。
調達のためにはP&ID図面から手作業での集計が必要です(めっちゃ面倒…)
しかし、「ダイナミックブロック」「属性」を使えば集計作業の自動化ができます!
そこで今回は、ダイナミックブロックを使った「P&ID図面から材料集計を自動化する手順」について解説します。
step1. 材料集計の対象を決定
まずは、集計対象を洗い出してどんな情報を入れるか設定します。
材料集計が必要なシンボルは非常に多いですが、ここでは集計対象を大きく5つに分類しました。
バルブ(手動弁)とレジューサーは主に機械担当者が調達する材料です。
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集計するために必要な属性情報は以下の通りです。
「バルブ種類」「サイズ」「材質」「接続」などの情報が必要になります。
「サイズ」「材質」などの情報が必要になります。
レジューサの場合、サイズは1次側と2次側の情報が必要です。
機械担当者同士で必要な情報を設定するようにします。
液面計、流量計、自動弁などは主に電気計装担当者が調達する材料です。
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集計するために必要な属性情報は以下の通りです。
液面計などに搭載されている計装機器の「計器番号」「機器番号」「制御方法」などの情報が必要になります。
「計器番号」「流量計の種類」「サイズ」「材質」「接続」などの情報が必要になります。
「計器番号」「バルブの種類」「アクチュエータの種類」「サイズ」「材質」「接続」などの情報が必要になります。
特に自動弁は「バルブの種類」「アクチュエータの種類」の組み合わせが多いので、必要な要素を電気計装メンバー間で洗い出す作業が必須です。
step2. 材料集計用ダイナミックブロックの作成
集計対象が決まったら、次に集計用のダイナミックブロックを作成します。
少し複雑ですが、ブロックに動きや情報を入れられるので便利です!
ここでは、材料集計用のブロックとしてバルブを例として取り上げます。
バルブは非常に種類が多いです。ぱっと書き上げただけで10個出てきました↓
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バルブの種類ごとにダイナミックブロックを作ってしまうと労力がかかります。
また、書き出す内容を変更したい場合にもすべて変更しなければなりません。
そこで、「可視性」を使ってシンボルを1つにまとめてしまいます。
可視性について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください↓
可視性の他に属性を追加していきます。
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今回はテスト用なのでバルブの種類のみを属性にしています。
バルブの仕様を特定するには更に「サイズ」「材質」「接続」が必要でした。
なので、さらに属性を付け加えていけば材料集計用ブロックが完成します。
属性について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
step3. 属性情報の書き出し
最後にダイナミックブロック情報を書き出して集計します。
AutoCADの場合は「データの書き出し」を活用することで「Excelデータ化」と「集計作業」が自動で行えます。
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以前の記事でボルトを仕様ごとに積算する方法を説明しました↓
この方法を使ってデータ書き出しをしてあげます。
「データ書き出し」を使うと図面内の属性情報から数量の積算が自動でできます。
また、集計データをExcelファイルや図面へ書き出せたりもします。
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AutoCAD LTの場合は「データ書き出し」が使えません…
ですが「属性の抽出、書き出し」ができます。
「属性の抽出、書き出し」とは図面内の属性情報をテキストファイルに書き出せる機能です。
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書き出したテキストファイルはExcelファイルへ変換ができるので集計ができます。
Excel変換する作業は発生しますがAutoCAD LTでも使えます!
「AutoCAD LTの属性書き出し」について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください↓
P&ID用 ダイナミックブロックの作成方法について
一番難しいのは集計用のダイナミックブロックを適切に作ることです。
私の過去の記事でブロックの作成方法、属性の入れ方、集計方法などをまとめているので参考にしてみてください↓
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ダイナミックブロックで集計作業を効率化しましょう!
まとめ
今回はプラントエンジニア向けにダイナミックブロックを使った「P&ID図面から材料集計を自動化する手順」について説明しました。
・step1. 材料集計するシンボルと、書き出す情報を決定する
・step2. 可視性と属性を組み合わせたダイナミックブロックを作成する
・step3. データ書き出しで自動集計を行う(AutoCAD LTでもOK)
材料集計をする対象は大きく①手動弁、②レジューサー、③計装機器、④流量計、⑤自動弁の5つがあります。まずは集計対象を決定して、必要な情報をチーム内で決定しましょう。
内容が決まったら、ダイナミックブロックの作成を行います。
可視性を加えることで後の修正箇所を最小限に抑えることができます。また、書き出す情報を属性に追加します。
最後に「データ書き出し」機能を使って自動集計を行いましょう。
AutoCAD LTを利用されている方は「属性の抽出、書き出し」を利用しましょう。
材料集計作業が自動化できれば設計工数が大幅に削減できて利益率が上がります!興味のある方は、まずはチームで工数削減に向けた情報の洗い出しから始めましょう!
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以上、こたろーでした。