【AutoCADでP&ID 自動材料集計】バルブ編②~集計に必要な属性の設定~

この記事の難易度

AutoCADでP&ID図面を作成して材料の仕様に間違いがないように集計するのって大変ですよね?

この問題を解決するために、これまでにプラントエンジニア向けにP&ID図面から材料を自動で集計するための方法を記事にしました。

材料の自動集計ができれば設計工数を大幅に削減できて利益率が上がります!また、業務を早く片付けられるので自由に使える時間が増えてワークライフバランスも改善します。

 

前回の記事ではバルブ情報を集計するためのブロック作成を試みました。

前回の記事では可視性を使ってバルブの種類を変更できるように設定しました。また、変更した情報を属性データに反映しました。

しかし、バルブの種類だけでは材料集計ができません。

材料集計のためにはバルブ種類に加えて「サイズ」「接続方法」「材質」が必要です。

そこで今回は、「サイズ」「接続方法」「材質」を前回のブロックを使って追加する方法を解説します。 

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前回記事のおさらい

前回の記事では10種類を超えるバルブのシンボルをユーザーが切り替えられるように可視性を追加しました。

可視性を追加してバルブシンボルをまとめることで以下のメリットがあります。

  1. ブロックに変更がある場合はひとつだけ修正すればよい
  2. ユーザーが直感的に切り替えられる
  3. 作図時間が減るので工数が削減できる

加えて前回の記事では、可視性の値を属性へ渡しました。属性へ情報を渡すことでバルブの種類を特定できるようにしました。

作成ブロックの紹介

前回作成したブロックの機能を紹介します。

ブロックを選択して、プロパティ欄を確認するとTYPE属性に「ボールバルブ」が入っています。シンボルも「ボールバルブ」なので値が一致しています。

可視性アイコンをクリックすると、可視性に登録をしたバルブを切り替えられます。ここではボールバルブから「バタフライバルブ」に変更します

プロパティ欄を確認するとTYPE属性に「バタフライバルブ」に代わりました。

属性の値とシンボルが一致しない場合は属性のよくあるつまづきポイントを確認してください。

 

ブロックテーブルでパラメータを入力

P&ID図面からバルブの仕様を特定するには「バルブの種類」だけでは不十分です。

材料集計のためにはバルブ種類に加えて「サイズ」「接続方法」「材質」が必要です。

ここではブロックテーブルを用いて「サイズ」と「接続方法」をユーザーが選択できるように設定を行います。

ブロックテーブルについて詳しく知りたい方は過去の記事をご覧ください。

サイズ, 接続の属性を追加

ブロックテーブルに情報を入れるために属性を設定していきます。ここでは「サイズ」と「接続」の属性追加します。

サイズ属性の追加

リボンから、挿入>属性定義をクリックして属性定義画面を立ち上げます。

「名称」から属性名を設定します。今回は「SIZE」としました。

設定が完了したらOKボタンを選択してブロック内に属性を挿入します。

接続属性の追加

先程と同様にリボンから、挿入>属性定義をクリックして属性定義画面を立ち上げます。「名称」から属性名を設定します。接続なので「CONNECT」としました。

設定が完了したらブロック内に属性を挿入します。文字の大きさや画層などは後からでも変更ができるので暫定の場所に設置してください。

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ブロックテーブルを追加

先程設定した属性を利用して、ブロックテーブルからユーザーが複数のパラメータを選択できるようにします。

ブロックテーブルの挿入

ブロックエディタ画面へ移動して、ブロックテーブルを挿入します。

リボンから、ブロックエディタ>ブロックテーブルをクリックしてパラメーターの切り替えポイントを設置します。

ブロックテーブルを設置するとグリップ数を指定を求められます。デフォルトが「1」なのでそのままでEnterキーを押しましょう。

ブロックプロパティテーブルの作成

ブロックテーブルの挿入が完了すると表のアイコンが出ます。中身を確認するために表アイコンをダブルクリックをしてブロックプロパティテーブルを立ち上げます。

ブロックプロパティテーブルが立ち上がったら赤枠で囲ったアイコンをクリックします。

パラメータプロパティを追加します。今回は「SIZE」と「CONNECT」を選択します。

Ctrlキーを押しながらクリックすると複数の属性を選択できます

選択が完了したらOKボタンで先に進みます。

ブロックプロパティテーブル画面へ戻りました。

テーブルを確認すると先程選択した「SIZE」と「CONNECT」属性が追加されました。

属性の組み合わせ入力

ブロックプロパティテーブルに属性が追加されたので、値を入力していきます。

ブロックプロパティーテーブルには属性の組み合わせを入力していきます。

※接続方法はFLG(フランジ接続)、THR(ねじ接続)、FERR(ヘルール接続)の3種類としています。

なのでサイズが1/8″のときには

  • 1/8″でフランジ接続(FLG)
  • 1/8″でねじ接続(THR)
  • 1/8″でヘルール接続(FERR)

の3種類の値をそれぞれブロックプロパティテーブルへ入力します。

ブロックプロパティテーブルへ直接値を入力してもいいですが、事前にExcelシートを作成してコピー&ペーストしたほうが楽です。

 

また、組み合わせ数が多い場合は書き出すのが大変ですよね?

そんなときはVBAの使用をお勧めします。こちらからダウンロードをしてご利用ください。

VBAの使い方は過去の記事を確認してください。

ブロックテーブルの表示設定

可視性が入っているブロックへブロックテーブルを追加する場合は表示設定が必要です。

ブロックテーブルのアイコンを選択して右クリックします。

オブジェクトの可視性>すべての状態で表示を選択してください。

すべての状態で表示をしないとどうなるか?

ブロックテーブルはブロックテーブルが入っている可視性状態のみに適用されます。

表示設定をしないと他のバルブに切り替えてもブロックテーブルが出てこないです。

ブロックをテスト

ブロックテーブルへ「サイズ」「接続」を追加したブロックが完成しました。正常に動作するかテストをします。

テスト画面

ブロックエディタを開いて「ブロックをテスト」画面に移動します。

ブロックテーブルのグリップを選択すると最初にサイズの選択項目が表示されます。今回は3″としました。

サイズを選択すると次に接続の選択項目が表示されます。接続方法はFLG(フランジ接続)、THR(ねじ接続)、FERR(ヘルール接続)の3種類です。今回はFLG(フランジ接続)としました。

ブロックテーブルのパラメータを決めた後に図面を確認すると選択した内容が表示されていることがわかります。

ブロックを選択してプロパティ項目を確認すると、属性欄に選択したサイズと接続の内容が反映されました。仕様を決めるパラメータが埋まってきました。

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ラインクラスを属性に設定

バルブの材料集計には①バルブの種類、②サイズ、③接続、④材質の4つが必要でした。

これまでの作成過程で4つのうち3つが自動取得できるようになりました。ここでは残りの材質属性を追加します。

ところが、「外部材質」が「内部材質」と異なったりと一概にバルブの材質は決まりません

そこで配管ラインクラスを属性に追加します。

ラインクラスごとにスペックシートと呼ばれる仕様が定められていて、バルブの情報もそこに定義されているので材質の代わりになります!

ラインクラス属性の追加

ブロックエディタ画面に移動してラインクラス属性を追加します。

リボンから、挿入>属性定義をクリックして属性定義画面を立ち上げます。「名称」から属性名を設定します。ラインクラスなので「CLASS」としました。

設定が完了したらブロック内に属性を挿入します。

※これまでの属性と異なりCLASS属性のみ手入力になるため、注意してください!

ブロックテーブルにラインクラスを追加すればいいのでは?

ブロックテーブルにサイズと接続を入れたようにラインクラスも追加できないでしょうか?

もちろんできますが、絶対におすすめしません!

 

理由①:ラインクラスを加えるとブロックテーブルの行数が一気に増えてPCに負荷がかかる

動作が重たくなって業務効率が落ちたら意味がないです。

個人的にはブロックテーブルは2000行以下にした方がよいです。

 

理由②:プロジェクトに応じてブロックテーブルを書き直さなければいけない

ブロックは社内で統一するのがベストです。

 

完成ブロックの使い方まとめ

これでバルブの材料集計用ブロックが完成しました。改めてブロックの使い方と運用の仕方を解説します。

バルブの仕様を特定するために①バルブの種類、②サイズ、③接続、④ラインクラスを出力できるように属性を設定しました。

①バルブの種類(TYPE)

可視性の▽グリップを選択するとバルブの一覧表が出ます。ユーザーがバルブの種類を変更してコマンドラインから「REGEN」を入力すると属性の値が反映されます。

②サイズ(SIZE) ③接続(CONNECT)

ブロックテーブルの▽グリップを選択すると最初にサイズの一覧表が出ます。サイズを選択すると接続の一覧表が出てきます。ブロックテーブルでは選択した内容がそのまま属性の値に反映されます。

④ラインクラス(CLASS)

バルブを挿入するラインクラスを手入力します。入力する際はブロックを選択してプロパティ欄のラインクラス属性に直接書き込んでください。

データ書き出しで自動集計しよう!

これで、バルブを材料集計できるブロックが出来上がりました。ラインクラスのみ手入力が必要ですが、ユーザーが選択した情報が属性に入るようになります。

属性が全て入ればバルブの仕様が決定するため「データ書き出し」で自動集計ができます。これでバルブを手作業で集計する手間がなくなって工数の大幅削減が実現できます!

データ書き出しについて詳しく知りたい方は過去記事をご覧ください。

 

まとめ

今回はバルブブロックにサイズ、接続、ラインクラスを追加して材料集計に必要な情報を追加する方法を紹介しました。

  • ブロックテーブルにサイズと接続の組み合わせを入れて選択式とした
  • 材質は一つに決まらないのでラインクラスを設定
  • 属性情報が全て入ればデータ書き出しで自動集計(工数削減できる)

バルブの仕様を特定するためには①バルブの種類、②サイズ、③接続、④材質が必要でした。前回の記事ではバルブの種類のみ属性に入っていました。

サイズと接続はブロックテーブルに組み合わせを入力してユーザーが選択できるように修正しました。

これでユーザーが選択した内容がそのまま属性へ反映されるようになりました。

また、バルブの材質は部位によってバラバラなので一つに決めるのが難しいです。なので代わりに配管のラインクラスを設定することでバルブの材質が確定します。

属性情報が全て入れられれば「データ書き出し」機能でバルブ数量を自動集計できるようになります!何千個もあるバルブの数を集計できるようになり、業務効率化ができます。

更に必要な情報があれば追加をして社内で標準化を進めていきましょう!

次回は材料集計をさらに楽にする属性を追加していきます。

以上、Kotaroでした。

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