【AutoCADでP&ID 自動材料集計】バルブ編③~管理が便利になる属性の設定~

この記事の難易度

AutoCADでP&ID図面を作成してバルブの数を使用別に集計するのって大変ですよね?

この問題を解決するために、これまでにP&ID図面から材料を自動集計するための方法を記事にしました。

これまで2回に渡ってバルブ情報を集計するためのブロック作成を試みました。

1回目は可視性を使ってバルブの種類を変更できるように設定しました。

2回目はブロックテーブルを使ってサイズと接続方法を選択できるようにしました。

第2回までの内容で材料集計自体はできるようになりましたが、今回は材料集計の管理をするのに便利な情報を追加していきます。

具体的には図面の「ファイル名」と「集計区分」を追加します。これらを追加することで集計情報をExcelに出力して確認する際にエラーを特定しやすくなります。

今回はバルブ材料集計の管理を便利にする情報の追加方法を解説します。

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前回記事のおさらい

これまでにバルブの材料集計をするダイナミックブロックを2回に渡って作成してきました。それぞれの内容について完成したブロックを使っておさらいをします。

※おさらいが不要な方はこのセクションを飛ばしてください!

可視性を追加(第1回目内容)

第1回目は可視性をブロックに追加してバルブの種類を切り替えられるようにしました。

可視性の入ったバルブを選択すると▽マークのグリップが表示されます。グリップを選択するとあらかじめ作成したバルブを選択できるようになります。バルブのシンボルは選択したバルブへ変更されます。

ブロックを選択して、プロパティ欄を確認するとTYPE属性が入っています。属性名はバルブの種類ということで「TYPE」としました。

図面のシンボルはボールバルブです。TYPE属性にもボールバルブが入っていおり、シンボルと属性の値が一致しています。

可視性を使ったダイナミックブロックの作成方法を確認したい方は以下の記事をご覧ください。

ブロックテーブルを追加(第2回目内容)

第2回目ではブロックテーブルを追加してサイズと接続をユーザーが選択できるようにしました。

バルブを選択すると▽マークのブロックテーブル用グリップが表示されます。グリップを選択するとサイズと接続の組み合わせを選択できるようになります。

 

ブロックを選択して、プロパティ欄を確認するとSIZE, CONNECT属性が入っています。属性名はバルブのサイズと接続にちなんでいます。

ユーザーが選択した組み合わせが属性に反映されます。また、シンボルにも同じ情報が入ります。

ダイナミックブロックへブロックテーブルの挿入方法を確認したい方は以下の記事をご覧ください。

 

材料集計の管理を便利にする属性を追加

これまでにバルブの仕様を特定するためにバルブの種類やサイズなどを属性に追加しました。

今回は材料集計作業を楽にしたり、のちの管理を楽にする属性を追加していきます。

具体的にはファイル名と集計区分です。

一般的に1ファイルに1図面を作図します。なのでファイル名が取得できれば図面ごとに集計結果を出したり、入力エラーの発見にも役立ちます。

また、集計区分が分かれば他の集計用ブロック(計装記号やレジューサー)などが混在しても区別できます。

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ファイル属性を追加

ここではファイル情報を属性へ与えます。少し高度ですが、フィールドを使うことで図面情報を取得できるようになります。

属性定義

ブロックに属性を配置するので編集するブロックを選択して、右クリック>ブロックエディタを選択して、ブロックエディタ画面を開きます。

リボンから、挿入>属性定義をクリックして属性定義画面を立ち上げます。

ファイル名は図面に表示させないくてよいので「モード」を「非表示」にします。

「名称」から属性名を設定します。今回はファイル名を取り出すので「FILE」としました。

ファイル情報を読み込むために既定値欄よこにあるアイコンをクリックします。

フィールドの設定

フィールド画面が立ち上がったら「フィールド分類」を「ドキュメント」に変更して、「フィールド名」では「ファイル名」を選択します。

また、ファイルの表示形式を設定できます。今回は「ファイル名のみ」を選択して、拡張子は表示しないように設定しました。

表示形式を設定すると「ファイル名」欄に結果が表示されます。「集計用P&ID-1001.dwg」というファイルなので、拡張子が非表示になっていることがわかります。

設定が完了したらOKボタンをクリックして先に進みます。

 

属性定義画面に戻ると既定値欄にファイル名が入っていることがわかります。

設定が完了したらOKボタンを選択してブロック内に属性を挿入します。今回の属性は非表示設定なのでどこに配置しても問題ないです。

ブロックをテスト

追加した属性が正しく反映されるかテストを行います。

ブロックを選択して、プロパティ欄をチェックしましょう。

今回はファイル名が「集計用P&ID-1001.dwg」としました。FILE属性には拡張子が省略されたファイル名が入っています。

P&IDはファイル名に1001, 1002・・・とつけて連番で管理することが多いです。なのでファイル名が取得できると、どのファイルのバルブ情報なのかが一目でわかります!管理がしやすくなりますね!

 

集計区分 属性を追加

ここでは集計区分を属性へ与えます。この属性を加えるExcelで集計した後に材料別に管理ができるようになります。

属性情報設定

リボンから、挿入>属性定義をクリックして属性定義画面を立ち上げます。

集計区分は図面に表示させないくてよいので「モード」を「非表示」にします。

「名称」から属性名を設定します。今回は集計区分なので「SECTION」としました。

既定値欄には区分名を入力します。今回は「手動弁」としました。既定値欄に手入力した内容はそのまま反映されるので、あとで変更が出ないように気を付けてください。

設定が完了したらOKボタンを選択してブロック内に属性を挿入します。今回も非表示設定なのでどこに配置してもOKです。

ブロックをテスト

ブロックを選択して、プロパティ欄をチェックしましょう。

SECTION属性には先程設定した「手動弁」が入っています。

今後他に集計したいブロックがあるとき(レジューサー、計装記号など)同じようにSECTION属性を作って区分名を入れてあげれば一目で区別できます。

Excelに書き出した時に区分名でソートしてあげるとピックアップしたいブロックの情報だけが取り出せて管理しやすくなりますね!

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【追記】体裁を整える

これまでに作成した材料集計用バルブの中身がこちらになります。

今までは属性の配置場所に関して触れてなかったため、文字の配置がごちゃごちゃしています。

このままだと今後ブロックをアップデートする際に編集者が混乱してしまいます。

属性の設定内容を整理

ここでは属性の文字を整理していきます。また画層を追加して印刷時の設定も行います。

属性情報と運用する上での表示設定条件をまとめました。

 属性名  内容表示設定 印刷 
SIZEサイズ
CONNECT接続×
CLASSラインクラス×
TYPEバルブ種類××
FILEファイル名××
SECTION集計区分××
〇:表示、×:非表示

SIZE属性は図面にも文字が表示されてほしいですし、印刷したときにもバルブ口径を記載するのが標準的です。

CONNECT, CLASS属性は図面上で確認をするために表示にします。印刷時は不要なので非表示にします。

TYPE、FILE、SECTION属性は全て自動で入力されるため非表示にします

以上をまとめると

  1. SIZE属性はブロック上に文字を表示、印刷時にも表示
  2. CONNECTとCLASS属性はブロック上に文字を表示、印刷では非表示
  3. TYPE、FILE、SECTION属性はブロック上で非表示(印刷もされない)

このようになります。

①に関しては表示させたい位置のみ修正を行います。

②に関しては印刷のときに非表示にすればよいので画層を設定します。

③に関しては文字を小さくして非表示属性をまとめてしまいます。

 

属性の文字設定を修正

画層の追加修正

ブロック上に文字を表示、印刷では非表示にするため画層の設定を行います。

リボンから、ホーム>画層プロパティ管理をクリックして画層を追加していきます。

画層を新規作成ボタンをクリックすると新たに画層が追加されます。名前項目でわかりやすい名前に変更しましょう。今回は非表示にしたいので「HIDE」としました。

HIDE画層の印刷欄にあるアイコンをクリックすると印刷時の表示設定ができます。今回は印刷をしたくないので非表示設定にします。

画層の色等も変更できるので、各自設定をしましょう。

属性の文字設定修正後

CONNECTとCLASS属性は印刷時に非表示にしたいので、HIDE画層を入れました。

また、TYPE、FILE、SECTION属性は作図時にも非表示なので、文字高さを小さくして一か所にまとめました。

これでブロック全体がすっきりと整理されました!お疲れ様でした!

 

作図画面と印刷画面の確認

バルブの材料集計ブロックが完成しました!ここでは実際に図面に追加したときや印刷をしたときに図面がどう見えるのか確認をしていきます。

AutoCAD作図画面

AutoCADで今回作成した材料集計用バルブブロックを挿入してP&IDを作成しました。バルブのサイズは見やすく白で表示されています。

接続とラインクラスは青文字で表示されています。この2つはP&IDの作図者や設計者のみが分かればよいので文字の色は目立たないように青や紫にするとよいです。

最後に印刷をしたときにどう表示されるか確認をしましょう。

AutoCAD印刷画面

印刷画面ではバルブサイズのみが表示されています。ラインクラスと接続は印刷時に非表示に設定しましたが、ちゃんと反映されていますね!

これでバルブを材料集計するための情報をブロックに入れ込み、印刷をしても問題なく出力ができることがわかりました。このブロックを使えば材料集計作業が簡略化できて作業工数が削減できます! 

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まとめ

今回はバルブ材料集計の管理を便利にする情報の追加方法を紹介しました。

  • ファイル名を属性に入れるとでP&IDごとの管理ができる
  • 集計区分を属性に入れると他の集計ブロックと区別した管理ができる
  • (補足)属性の文字を印刷したくない場合は画層を変更して、印刷非表示とする

材料集計の管理を便利にするためにファイル名と集計区分を新たに属性に追加しました。

P&IDはファイルごとに作図をすることが多く、連番で管理をします。なのでファイル名を属性に追加することで集計したときにどこの図面の情報のバルブか一目でわかります。

また、バルブだけでなく計装記号や、レジューサー、流量計・・・など自動集計したいブロックは多くあります。Excelへ情報を書き出した時に集計区分属性が入っていれば集計区分でソートして必要な情報のみ取り出すことができます。

補足ですが、印刷の際に属性の文字を出力したくない場合は、画層を編集して印刷非表示とするようにしましょう。

第1回~第3回までで材料集計用バルブの作成の作り方を全て伝授しました!このブロックを使えばバルブ数量を自動集計できるようになります!手作業による工数を削減して業務効率化を進めましょう!

次回はP&IDへ今回のバルブを追加して集計を行います。

以上、Kotaroでした。

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