この記事の難易度
AutoCAD図面をもとにして部品や材料を手作業で集計したことはありませんか?そんなときに自動で集計できればなぁと思うときってありますよね?
CAD情報を自動で集計したいのならダイナミックブロックを使った「データ書き出し」を使用するのがおすすめです。
ダイナミックブロックに属性を入れて書き出しを使用すれば集計作業をする際に手作業をしなくてよくなり、業務効率化ができます。
そこで、今回はAutoCAD初心者から中級者向けにダイナミックブロックの「データ書き出し」について解説します!また、「ボルトのサイズ別集計表」をCADとExcelに出力する成果物を作ります。
※この記事はAutoCAD、AutoCAD plusをご利用の方が対象です。
データ書き出しは図面情報を仕様ごとに表にまとめる機能です。ブロック情報もまとめられます。
設計をしていて図面に部品が大量ちりばめられて、部品の個数を集計するときがあります。ですが、手作業で集計するのは非効率的です。

ブロックに属性を入れればデータ書き出しで集計でき、手作業での集計工数を減らせます!
Excelにも書き出せて非常に便利な機能なので押さえておきましょう!
データ書き出し:成果物イメージ
こちらが今回の記事での最終的な成果物になります。

ちりばめられたボルトを各サイズごとに積算してを表にすることとExcelファイルに結果を書き出すことが今回のゴールです。

前回の記事ではボルトのブロックに可視性を追加してサイズを変更できるようにしています。可視性について知りたい方はこちらをご覧ください!

それでは記事の内容に沿って成果物を一緒に作り上げていきましょう。
ボルトがちりばめられた図面の数量を積算します。
今回の積算の方法はAutoCADを使用されている方が対象となります。旧AutoCAD LTをご利用中の方は今回の方法は使用できませんのであらかじめご了承ください。
属性データの書き出し方法

リボンから、挿入>データ書き出しをクリックします。

データ書き出し画面に移動しました。ここではデータを書き出すためのテンプレートを作成します。データ書き出しを新規に行うを選択して次へ進みます。

フォーマットを保存するフォルダとファイル名を設定して保存をクリックします。

現在の図面が表示されていることを確認して、次へをクリックします。

表示オプションで「ブロックのみ表示」「属性を持つブロックのみ表示」をクリックして次へ進みます。

分類フィルタで「属性」のみにチェックを入れて次へ進みます。今回は「ボルトサイズ」という属性が読み込まれました。

ボルトサイズごとの数量が表になりました。名前列が不要なのでチェックを外しましょう。

名前列のブロックが非表示になりました。次へ進みます。

今回はCADデータにもExcelにも結果を出すので、「データ書き出し表を図面に挿入する」「データを外部ファイルに書き出す」にチェックを入れます。
Excelファイルのパスを指定したら次へをクリックします。

表スタイルの設定をします。書式と構造欄から「表を手動で設定」にチェックを入れてタイトルを入力します。今回は「ボルト集計表」としました。

設定が完了しました。お疲れ様です!
CADデータ出力結果
CADデータへの出力結果を確認します。

ボルト集計表が図面に挿入されました。表だとM8が9本になっていますが、図面上でも9本になっています。正しく集計されています。
図面を修正した場合
ここでは図面内容が変更された場合に集計表を更新する方法を紹介します。

赤枠で囲まれたボルトを削除しました。ですが、ボルト集計表は修正前と変わっていません。

集計表を選択して、右クリック>表のデータリンクを更新をクリックします。

ボルト集計表の値が更新されました。表だとM8が8本、図面上でも8本になっています。正しく集計されています。
Excelデータ出力結果
Excelデータへの出力結果を確認します。
テンプレートファイルを作成したときに書き出したExcelファイルを起動します。

ここでも各ボルトサイズごとの数量が積算されているのが確認できます!
CADとExcel両方に集計表が書き出せました。本日の成果物の完成です。
ここでは成果物の内容と少し異なりますが、ユーザーが作成したExcelデータをCAD画面に挿入してリンクをさせます。
データリンクの作成
エクセルファイルとCAD表データをリンクさせるために「データリンク」を作成します。

リボンから、挿入>データリンクをクリックします。

データリンクを選択します。今回は新しいExcelデータリンクを作成をクリックします。次にデータリンク名を入力します。今回は「ボルト集計表」としています。

Excelファイルを選択で、読み込ませたいファイルを選択します。プレビューでエクセル内容が表示されます。

Excelリンクが追加されました。
TABLEコマンドで表を作成
データリンクの内容をCADデータに紐づけていきます。

コマンドライン上でTABLEと入力します。
表を挿入という画面が立ち上がりました。挿入オプションから「データリンクから開始」にチェックを入れて直下のアイコンから作成したExcelリンクを選択します。
OKボタンをクリックするとCAD上に表を挿入できます。
出力結果

今回読み込んだExcelファイルがCAD図面上に表になって挿入されました。内容も一致しています!
Excel修正内容をCADデータに反映
読み込んだExcelファイルに変更がかかったときに挿入したCADデータも同時に更新させます。

今回はM8とM6のボルト数量をエクセル上で変更しました。

Excelデータが変更されると図面では「データリンクは変更されました」とメッセージが出ます。「次のデータリンクを使用して表を更新」をクリックします。

修正したExcelファイルの内容がCADデータ側でも反映されました。
他のデータ更新方法

CAD上で表を選択して、右クリック>データリンクを外部ソースに書き出しでも更新ができます。覚えておきましょう。
今回はCAD上でデータの書き出しを行いました。
CADとExcel間のデータ連携は複雑なので全体像を確認しましょう。

- CADのブロック情報をCAD上で表にできる(相互リンク可)
- CADのブロック情報をExcelに出力できる(リンクできない)
- ExcelデータをCAD上に表にできる(相互リンク可)
①と③はこれまで説明してきた通りどちらかを修正したら更新がかかります。
一方で②のExcel出力は一方向のみでリンクができません。なのでExcelデータを変更してもブロック情報は更新されません!
全体像が把握できると書き出しの手順がはっきりするので、必ず押さえておくようにしましょう。

今回はAutoCADを使ってダイナミックブロックの「データ書き出し」について説明しました。また、「ボルトのサイズ別集計表」をCADとExcelに出力する成果物を作りました。
- データ書き出しは図面情報をExcel, CADに表にしてまとめる機能
- 集計作業が自動化できるため業務効率化になる
- CAD情報⇒Excelへ出力ができるが、CAD図面とリンクできないので注意!
データ書き出しは図面情報をExcelやCAD上で表にしてまとめられる機能のことです。ダイナミックブロックに属性を入れることでブロックごとの情報をまとめられます。
ボルトや部品などダイナミックブロックに属性が入れられれば、集計作業をする際に手作業をしなくてよくなり、業務効率化ができます。
CADの属性情報をExcelへ書き出すことはできます。しかし、書き出したエクセルを修正してもCADの属性は反映されないので注意してください。
最初は全体像の理解が難しいので説明した全体図を参考にして何度もトライしながら体で覚えるようにしましょう!
以上、Kotaroでした。