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今回はAutoCADで基準線づくりに欠かせない「RAYコマンドによる放射線の作図方法」について解説します。
RAYコマンドは、始点から一方向に無限に伸びる直線を描ける機能で、中心線やガイドラインの作図によく使います。
しかし、角度入力や画層設定を理解せず使うと、不要な線を印刷してしまったり基準線が煩雑になり、かえって作業効率が落ちることも…
この記事では、放射線の基本的な描き方から角度指定・画層管理を活用した効率的な作図テクニック、さらにXLINEコマンド(構築線)との違いまで、初心者にも分かりやすく解説します。

RAYコマンドをマスターして、正確でスマートな図面づくりをしましょう!
RAYコマンド(放射線)について
ここではRAYコマンドの機能と使い方について説明します。
RAYコマンドは、始点から無限に延びる放射線を作成するAutoCADの描画コマンドです。
通常の線分(LINE)とは異なり、一方向に無限の長さを持つ直線を作図することができます。
この線は通常のオブジェクトとして扱われるため、印刷も可能です。
印刷させたくない場合は、専用の画層に分けて「印刷不可」に設定するのが一般的です。
図面の基準線や角度の参照線の作図に便利です↓

RAYコマンドの主な用途はこんな感じです↓
- 建物の中心線を伸ばして他の要素の位置を決めたいとき
- 傾きのある基準線を長く引いて目安にしたいとき
- 交差点の延長方向を示したいとき

ガイド線として活用すれば、作図ミスを減らせて効率アップ!
RAYコマンドを使った放射線の描き方
それではRAYコマンドで放射線を作図してみましょう。
コマンドラインからRAY
と入力してEnterキーを押します。
ホームタブから、作成タブを開いて放射線(矢印のマーク)を選択してもOKです。

次に始点を設定するようにメッセージが出るため、始点を選択します。
そしたら伸ばしたい方向を指定してクリックします(今回は水平方向に作図しました)

同様に垂直方向も作図します↓


直行モードを使うと直角に線を引けますよ!
RAYコマンドも普通の線分やポリラインと一緒で角度の指定ができます。
始点を選択(下図①)した後に「<30」と入力してEnterキーを入力(下図②)すると水平方向から30°角度をつけて作図できます。


今回は30°としましたが、お好きな角度を入力してください。
基準線を作る場合は線を引きっぱなしでもOKですが、図面要素として使いたい場合はTRIMコマンドで不要な線を取り除きましょう。
コマンドラインからTRIM
と入力してEnterキーを押します。

次にトリムするオブジェクトを次々と選択していき、最後にEnterキーを入力すると削除できます。

図面の基準線に使いたい場合はそのままでOKです。
印刷したくない場合は、画層の設定をしましょう!
RAYコマンドに似た機能(XLINEコマンド:構築線)
RAYコマンドに似た機能で構築線(XLINEコマンド)があります。
構築線を作図するにはコマンドラインからXLINE
と入力してEnterキーを押します。
ホームタブから、作成タブを開いて構築線(両矢印のマーク)を選択してもOKです。

次に始点を設定するようにメッセージが出るため、始点を選択します。
そうしたら伸ばしたい方向を指定してクリックします↓

構築線の作図方法は放射線コマンドのときと全く同じですね!
ただ、放射線コマンドのときと違って始点を中心に両方向で線が作図されます。
ほとんど同じ内容ですが違いをまとめます↓
項目 | RAY(放射線) | XLINE(無限線) |
---|---|---|
描画方向 | 始点から一方向に無限に延びる | 始点を中心に両方向へ無限に延びる |
主な用途 | 視覚的な補助線・基準線 | 水平線・垂直線などの基準軸の作成 |
印刷設定 | 通常の線と同じく印刷される | 同様に印刷対象になる |
作図効率 | 一方向のみ必要なガイド線に便利 | 線対称や中心線など、対称な作図に便利 |

角度をつけたり、トリムをしたりできる内容は放射線と一緒です!
構築線について知りたい方は過去の記事を参照ください。
まとめ
今回は「【AutoCAD】RAYコマンドの使い方|放射線で基準線を効率よく作図しよう!」を説明しました。
・RAYコマンドは、始点から一方向に無限に延びる放射線を作図できるコマンド
図面の補助線や基準線、配置のガイドとして非常に便利
・始点と角度を指定することで、任意の方向に放射線を作図
直交モードや角度入力、極トラッキングと併用すると作図が正確になる
・似た機能のXLINE(構築線)との違いは「片方向 vs 両方向」

以上、こたろーでした。