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今回は、AutoCADでよくある「文字化け」トラブルとその対処法について解説します。
図面を開いたときに「?」や四角(□)が表示されたり、一部の漢字だけフォントが違って見えたりした経験はありませんか?
これは主にフォント設定が原因で発生する現象です。
この記事では、文字化けが起こる仕組みと、SHXフォント/TrueTypeフォントの違い、文字化けの修正方法まで、初心者にも分かりやすく紹介します。

フォント設定を見直して、誰にでも見やすく正確な図面を目指しましょう!
文字化けや「?」マークが表示される主な原因とは?
AutoCADで文字が正しく表示されない場合、以下のような現象がよく発生します。
- 「?」マークが表示される(斎藤の「斎」、渡邉の「邉」など)
- 特定の漢字だけフォントが異なる(例:「拌」など難しい漢字のフォント)
- 謎の記号や四角(□)が表示される

これらの文字化けの原因は、大きく以下の3つに分類できます。
- SHXフォントが扱えない文字(例:難しい漢字など)を含んでいる
- 文字記入方法によってフォントの挙動が異なる
- 指定されたフォントがPCにインストールされていない

次の章ではフォントの種類と文字化けの対策について説明します。
SHXフォントとTrueTypeフォントの違い
文字化けについて詳しく説明する前に、まずAutoCADで使えるフォントの種類について理解しておきましょう。
AutoCADで使えるフォントは2種類あります。
- SHXフォント
- TrueTypeフォント
「注釈」タブからフォントを選択して「文字スタイル管理」をクリックするとフォント設定を確認できます。


それぞれの種類で文字化けの様子も変わります。
フォントの違いは必ず押さえておきましょう。
SHXフォントはAutoCAD独自の軽量フォント形式で拡張子は「.shx」です。
- 文字が線で構成されており、ファイルサイズが軽量
- 対応していない文字(漢字・記号など)は「?」や「□」になることがある
「文字スタイル管理」で、拡張子が .shx
のフォントがSHXフォントです。
アイコンは「Aに◯」が付いたものが目印です。

TrueTypeフォントはWindows共通のフォント形式(例:MSゴシック、Arialなど)です。
- 印刷やPDF化に強く、高精度
- 多くの漢字・記号に対応しており、文字化けが起こりにくい
拡張子の表示がなく、「T」のアイコンが付いているものがTrueTypeフォントです。

AutoCADの文字化け事例について
ここでは、2つのよくある文字化けの具体的な事例と対処法を説明します。
文字記入モードで複雑な文字(漢字)を入力すると、「?」に文字化けすることがあります。
この原因は、SHXフォントがその文字に対応していないためです。
SHXフォントで漢字を使えるようにするには、文字スタイル管理から「ビッグフォントを使用」にチェックを入れてビッグフォント用のshxファイルを選択します↓

今回はSHXフォントをromans.shxとしました。
ビッグフォントにも様々な種類がありますが、今回はよく使われる「bigfont.shx」「extfont.shx」「extfont2.shx」で試しました↓

例文:「あいう ①②③◯✕△ 撹拌 ⅠⅡⅢ」でビッグフォントごとの結果をまとめました↓
ビッグフォント | 結果 |
---|---|
bigfont.shx | 「①、◯、拌、Ⅰ」などが「?」に変化 |
extfont.shx | 「①、◯、Ⅰ」などが「?」に変化 |
extfont2.shx(最も対応文字数が多く推奨) | すべて正しく表示される |
SHXフォントは一部の漢字や特殊文字がフォントに含まれていない場合に「?」マークが出ます。
extfont2.shxは、表示文字数が多いのでおすすめです。
👉️文字記入とマルチテキストの違いについて詳しく知りたい方は過去の記事を参照ください。
マルチテキストモードで入力した場合、同じくSHXフォントが対応していない文字を使うと、その文字だけ異なるフォントで表示されることがあります。
マルチテキストで文字をいれるには「注釈タブ」からマルチテキストを選択すればOKです。

SHXフォントをromans.shxとして、ビッグフォントには「bigfont.shx」「extfont.shx」で試しました↓

例文:「あいう ①②③◯✕△ 撹拌 ⅠⅡⅢ」でビッグフォントごとの結果をまとめました↓
使用フォント | 結果(マルチテキスト) |
---|---|
bigfont.shx | 「①、◯、拌、Ⅰ」などでフォントが変化 |
extfont.shx | 「①、◯、Ⅰ」などでフォントが変化 |
文字記入の場合も同じところで「?」マークが出ていますね。
文字記入モードでは「?」に化け、マルチテキストではフォントが変わるという違いがあります。

前に説明したようにextfont2.shxに変更すると文字化けが防げます!
対処法|AutoCADで文字化けを防ぐには?
ここからは、事前に文字化けを防ぐ方法を紹介します。
最も確実な方法は、フォントをTrueType(例:MSゴシック、Arialなど)に変更することです。
変更の手順は以下の通りです↓
- テキストを選択
- プロパティからフォントを「TrueTypeフォント」に変更
- コマンド:
STYLE
を入力 - 使用中のテキストスタイルを選択
- フォント名を「MS Gothic」や「Arial」に設定

TrueTypeフォントを使えばほぼ文字化けを防げます。
ただ、ややのっぺりした印象の文字になる点には注意です。
SHXフォントのまま使いたい場合は、できるだけ対応文字数の多いビッグフォント(例:extfont2.shx
)を選ぶのが効果的です。


特に細くてスマートな見た目が好まれる場合にはSHXフォントが使われることが多いです。
たまにお客さんや別のプロジェクトから図面をもらうときに特殊なフォントファイルが入っていて文字化けするときがあります。その場合はフォントファイル(SHXやTTF)を渡さないといけません。
特殊なフォントファイルが入っている図面を他人と共有する場合、使用しているフォントファイル(SHXやTTF)をETRANSMITで渡すことで、相手の環境でも正しく表示されます。
- コマンド:
ETRANSMIT
を入力 - すべての参照ファイルやフォントを含めるように設定
- ZIPファイルとして保存して送付

独特なフォントファイルを入れたい方は過去の記事を参照ください↓
以上がAutoCADにおける文字化けの主な原因と対処法になります。
フォントの仕組みと選び方を理解すれば、トラブルのないスムーズな作図が実現できますよ。
まとめ
今回は「AutoCADで文字化けする原因と対処法|「?」マークやフォント崩れを解消する方法」を説明しました。
・文字化けの原因は、SHXフォントの未対応文字やフォント未インストールなどがある
・ォントは「SHX」と「TrueType」の2種類。 SHXは軽量、TrueTypeは文字化けしにくい
・TrueTypeに統一するか、対応文字の多いSHXフォントを選ぶのが有効(extfont2がオススメ)
・他PCでも表示を保つにはETRANSMITでのフォントファイル共有が必要
文字化けの仕組みを理解して正しくフォントを選べば、見た目も内容も美しい図面に仕上がります。快適な作図環境のために、ぜひ今日から実践してみてください!

以上、こたろーでした。