この記事の難易度
タンク設計に不可欠な「10%皿型鏡板」の作図、実はミスする人多いです。
この記事では、私が実際に陥った作図ミスと正しい作図方法について説明します。
よくある間違いは、タンジェントラインから頂点までの高さ(h)を固定してしまうこと。
hは近似値なので、フィレットコマンドを駆使するのが正解です。
図解で分かりやすく解説するので、正確な10%皿型鏡板を作図できるようになります!

AutoCADスキルを向上させたい方は必見です!
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タンク鏡板について
ここではタンクの鏡板について10%皿型を例に解説します。
鏡板とはタンクの両端部分に取り付けられる半球状の板のことです。
一般的に丸みを帯びている方が中からの圧力に強いです。
今回紹介する10%皿型の鏡板の鏡板はこんな感じです↓

タンクの直線部から丸みを帯びる部分にかけての半径がタンク直径の0.1倍です(r = 0.1D)
0.1倍は10%なので10%皿型と言われています。
20%皿型 という鏡板もあります。
同じ原理で直線部から丸みを帯びる部分の半径はタンク直径の0.2倍です。
AutoCAD初心者が10%皿型の鏡板を作図するときに上手く描けない方が多いです。

私もその一人でした…簡単そうで実は難しいです。
10%皿型鏡板のよくある作図ミス
ここでは私が勘違いしていた10%皿型のよくある作図ミスについてご紹介します。
また、正しい作図方法も合わせて説明します。
ここでは10%皿型鏡板のよくある作図ミスについて手順を追って説明します。
まずはもう一度10%皿型の形状と関係係数を整理しましょう↓

まずはタンクの直径をDとすると関係係数はこのようになります↓
- タンク上面の中央部内半径Rもタンク直径のDと同じ
- すみの丸みの内半径rはタンク直径の0.1倍
- タンジェントラインTLからタンク頂点までの高さhはタンク直径の0.194倍
この値を使って作図をしてみましょう!
今回はタンク直径Dを1000mmとしました。
直径をLINEコマンドで1000mmを引いてから同じ半径の円を作図します↓

タンジェントラインTLからタンク頂点までの高さhはタンク直径の0.194倍でした。
なのでタンク頂点から194mmの線を引きます。その点で水平にラインを引きます。
また、タンクの側部にも垂線をおろしましょう↓

すみの丸みの内半径rはタンク直径の0.1倍でした。
なのでタンク側部に半径100mmの円を書きます↓

あとはいらないところをTRIMコマンドで削除すれば完成!
となるのですが、すみの丸みの内半径の部分をズームしてみましょう。
すると中央部内半径Rとすみの丸みの内半径rは重なりません(下図右)

図形が重なっていないとTRIMコマンドは使えない

それっぽく作図できたのに…原因は何なのでしょうか?
作図ミスはタンジェントラインTLからタンク頂点までの高さhはタンク直径の0.194倍としたのが原因です。
こちらは正しく10%皿型鏡板が作図できているときのhの値です↓

hの寸法を見ると193.774⋯mmです。0.194倍じゃない!
hはあくまで近似値であって永遠に続く無理数です。
なのでhを194mmで固定すると正確な鏡板を作図できません。
10%皿型鏡板の正しい作図方法
正しく10%皿型鏡板を作図するにはどうしたらいいでしょうか?
作図方法については過去の記事で紹介しているので以下のリンクをご参照ください↓

具体的にはフィレットコマンドをうまく使うときれいに作図できますよ!
まとめ
今回は「【AutoCAD】10%皿型鏡板の作図で失敗しない!よくあるミスと解決策を図解解説」というテーマで解説しました。
・10%皿型鏡板は一見簡単そうだが、正確な作図にはコツが必要
・タンク頂点からタンジェントラインまでの高さ(h)をタンク直径の0.194倍で
固定すると、正確な作図ができない。hは近似値であり、無理数。
・フィレットコマンドを活用すると正確な10%皿型鏡板を作図できる
具体的な手順は関連記事で解説

以上、こたろーでした。