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Navisworksで3Dモデルをウォークモードやフライモードで確認しているときに、「遠くのオブジェクトが突然消えてしまう」「逆に、目の前の壁や床だけが見えなくなる」といった不自然な表示に悩んだことはありませんか?
この現象の多くは カリング(クリップ平面) の設定が原因です。
カリングを正しく調整することで、近景・遠景の表示範囲をコントロールでき、モデルを綺麗に確認できるようになります。
この記事では、以下のポイントを詳しく解説します。
- Navisworksで「オブジェクトが消える」原因はカリング設定
- カリング(クリップ平面)の基本と仕組み
- ファイルオプションから近景・遠景を調整する方法
- 自動・拘束・固定モードの違い
- 実務で役立つ活用シーン

ウォークモードを快適にしたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください!
カリングとは?オブジェクトが消える原因
カリングとは、視点(カメラ)からの距離に応じて表示・非表示を切り替える仕組みです。
その中でも 「クリップ平面」 が表示に大きな影響を与えます。
Navisworksのウォークモードやフライモードでは、カメラの前に 「近景」と「遠景」 の2つの平面が存在し、その間にあるオブジェクトだけが描画されます。
- 近景:カメラに近すぎるオブジェクトを切り捨てる境界
- 遠景:カメラから遠すぎるオブジェクトを切り捨てる境界

つまり、近景・遠景の設定次第で「どこまで見えるか」が決まるということです。
設定を誤ると、以下のような不具合が発生します↓
- 目の前の壁や床が消える(近景)
- 遠くの建物や設備が消える(遠景)


Navisworksの保存する際はカリングも見ておく必要があります!
カリング(クリップ平面)を変更する手順
ここではカリングのクリップ平面の修正方法を説明します。
まずはNavisworks画面左上の「N」アイコンをクリックして「オプション」を選択します。するとオプションエディタが開きます。
ファイルオプションのメニューから「カリング(クリップ平面)」の設定しましょう↓

近景・遠景には「自動・拘束・固定」の3つのモードがあります。
初期条件では「自動」になっていますが、表示がおかしい場合は「拘束」にして距離を設定します。
「近景」と「遠景」の違いは以下の通りです↓
- 近景距離
→ 値を小さくすると目の前のオブジェクトが表示 - 遠景距離
→ 値を大きくすると遠くのオブジェクトも非表示にならずに表示

近景距離を小さく、遠景距離を大きくすると、表示が改善されることが多い!
※モデルのスケールによって適切な値は変わるため、少しずつ調整するのがおすすめです。
近景・遠景のモード「自動・拘束・固定」の違い
先ほども出てきましたが、近景・遠景をどのように扱うかを3つのモードから選択できます。
それぞれの特徴はまとめます↓
- 自動
Navisworksがモデルのサイズに合わせて自動で調整
初心者向けだが、意図せずオブジェクトが消えることがある
ファイルによっては表示がおかしくなることもあり - 拘束
自動調整をしつつ、指定値を優先するモード
実務では一番使いやすく、表示が安定しやすい - 固定
完全に指定値で制御するモード
数値次第で安定するが、誤った設定だと極端に表示が欠ける

デフォルトは自動になっています。
表示に不具合がある場合、拘束モードで距離を入力するのがおすすめ!
クリップ平面(カリング設定)が役立つシーン
これまでは遠くのオブジェクトが見えないような不具合を解決するためにクリップ平面の設定しました。
基本モデルは全部見えた方がいいですが、あえて表示範囲を絞ることで役立つことがあります↓
- ① 大規模モデルでのパフォーマンス改善
プラントや大規模建築のモデルは数GBクラスになることもあります。
遠景を無限に描画するとPCが重くなり、動作がカクつく原因になるので、
遠景を制限して近くの必要部分だけ描画することで、動作が軽快になります。
👉 レビュー会議やウォークスルーで「サクサク動かしたい」ときに有効! - ② 施工・点検シミュレーションでの見やすさ向上
施工ステップや点検動線をシミュレーションする際、
・近景が大きいと、すぐ目の前の壁が消えて動線が見やすくなる
・逆に小さくすると、壁越しに中が見えて便利!
👉 建設現場で「動線のクリアランスを確認」するときに便利です! - ③ プレゼン・打合せでの視認性調整
会議や施主プレゼンでは「全部見える=必ずしも見やすい」ではありません。
背景がゴチャゴチャしすぎると主役の要素が見えにくいことも。。。
遠景を短くして背景を消すと、見せたい設備や建物を強調できます。
👉 説明資料や動画作成時に「余計な要素をカット」できるのが大きい。
「全部表示できればいい」というのは理想ですが、実際には
- 動作を軽くする(パフォーマンス)
- 見やすくする(レビュー・プレゼン)
- 覗き込む/切り取る(検討作業)
といったシーンで クリップ平面は調整するとメリットがあります!

表示の不具合もありますが、あえて範囲を絞る選択肢もあるということですね!
まとめ|カリング設定でウォークモードを快適に!
今回は「【Navisworks活用術】近くや遠くのオブジェクトが消える?カリング設定でウォークモード表示を快適に」について解説しました。
・オブジェクトが消えるのは カリング(近景・遠景)の設定ミス
ファイルオプションから簡単に調整できる
・遠景を大きく/近景を小さく が基本の改善方法
・近景・遠景は「自動・拘束・固定」の3モードがある
自動モードか拘束モードがオススメ
・動作を軽くしたり、モデルを見やすくするのにも使われる
3Dモデルを快適にチェックするために、カリング設定のクリップ平面を見直してみてください!

以上、こたろーでした。
